私は現在30歳、1児をもつ主婦です。出産したのは私が25歳の時でした。ちょうど予定日に検診がありました。「そろそろかな、この検診からこのまま入院になるかな。」とワクワクしながら病院へ向かいました。しかし、医師から「子宮口はまだ全く開いていないですねぇ。会えるのはもうちょっと先かなぁ。」と言われ、ガッカリ・・・。さらに、「次、また3日後に検診に来て下さい。もし、それまでに生まれなければ、陣痛促進剤を使うかもしれません。羊水もだいぶ少なくなってきているので・・・。」という言葉を聞いて、不安になりました。本やネット、知人から「促進剤は辛い」と見たり聞いたりしていたからです。私の不安が赤ちゃんに伝わったのか、その日の夜中に陣痛が始まり、朝8時頃、病院へ。NSTで赤ちゃんの様子を確認すると、「赤ちゃんが危ない。」とのこと。「緊急帝王切開になる可能性も高いので、ご家族に連絡して下さい。」と緊迫した表情で医師から説明を受けた時は、怖くて泣きそうになりました。そして、そのまま入院することに。NSTの機械をつけ、心拍を小まめに確認しながら、陣痛室で過ごしました。不安な気持ちで数時間が過ぎた頃、様子を見に来た医師に、「赤ちゃん頑張ってるね。自然分娩でいけそうだよ。」と言われました。やはりお腹を切るのは怖かったので、とてもホッとしました。と、同時に、「赤ちゃんがこんなに頑張っているんだから、私も頑張らなくちゃ。」と気合いが入りました。それから陣痛は容赦なく強くなっていきます。まだいきんじゃいけない時に、痛みが来て、いきみを逃すのが本当に辛かったです。夫や助産師さんに腰をさすってもらいながら一回、一回の陣痛を何とか乗り切りました。「あと、どれぐらいですかー!?」と辛すぎて助産師さんに思わず聞きましたが、返事は「まだまだ始まったばかりだよ。これから、これから!」と言われ、気が遠くなりました。そして、時間は確実に過ぎ、痛みも強くなりました。ただ、陣痛の間隔が全然変わりません。大きな陣痛の波が来るわりに、次の陣痛までの時間が長いので、いきんでもいきんでもなかなか進みません・・・。「赤ちゃんもお母さんも辛そうだから、分娩室行こうか。」という医師の指示で、移動。分娩台でも頑張っていきむものの、陣痛の間隔は縮まらず・・・。「ちょっと手伝うよー。」と言って医師がバリバリとビニールの袋から取り出したのは、何やら金属の大きな器具・・・。サラダ用トングの大きいバージョンのようなものでした。「え、もしかして、それを使うの・・・」と思ったその時、そのトングで中の赤ちゃんを引っ張り出したのです。「痛ーい!!!!」思わず声に出してしまうほど。2~3回トングで引っ張られ、「次で赤ちゃん出てくるよー!」という医師の声で思いっ切りいきむと、「ずるん!」。しわしわの赤ちゃんが顔を出しました。会えて嬉しいのと、陣痛が終わってホッとしたのとで、涙がボロボロ・・・。・・・という感動の時間もつかの間。トングのような器具で、避けてしまった所を縫う処置が、これまたものすごく痛いのです。「痛い、痛い!」うなりながら、終わるのを何とか耐えました。後で知ったのですが、このトングを使ったお産を「鉗子分娩」というらしいです。このトングのせいで、産道の中の方も切れてしまい、翌日~1ヶ月以上、円座なしでは座れないくらい痛かったです。入院中は、手すりを持って這いつくばらなくては移動できないほど。それでも、我が子は可愛いもので、一日何度も痛みと闘いながら、顔を見に行きました。あのトングのような器具が出てきた時は衝撃的でしたが、あれが無ければきっと母子ともに危なかったのだと思います。あの時、私と子供の様子を見て判断し、適切な処置をして下さった医師には感謝しています。とにかく痛かったけれど、今では良い思い出です。
30歳女 大きなトングで激痛の中出産
